東京都知事選では、蓮舫さん、石丸伸二さん共に人気を博し、それぞれのムーブメントが起こりました。
残念ながら、現職には及ばなかったものの、石丸さんは約165万票、続いて蓮舫さんは約128万票、と健闘しました。
何より、この都知事選を通して「今まで政治に無関心だった人々に、興味関心を持ってもらえたこと」は、社会を一歩アップデートさせたと言えます。
それでも石丸さんが 2位になったことについては、ビックリした人も多かったと思います。なぜ、彼はこんなに人気を集めることが出来たのでしょうか?
分析していきたいと思います。
①「後援」についたのが「選挙プランナー」だった
安芸高田市長になったことで話題にはなりましたが、いわゆる「地盤」も何もない石丸さんの人気を押し上げたのは何だったのでしょう?
先ずは、支援者が付いたことが大きいと思われます。
後援会長になったドトールコーヒー創業者の鳥羽博道氏、そして鳥羽氏が、「選挙プランナー」藤川晋之助氏に依頼、石丸さんの支援者となります。
藤川晋之助氏は、国会議員や首長の選挙戦略を多く手掛けてきました。一時期は、東京維新の会の事務局長だったこともあります。
他にも、小田全宏氏が選対本部長になっています。
②組織に縛られていない個人だから
純粋に、石丸さんが良い、と思った人たちにとっては、「組織に縛られていない個人である」ことも、理由のひとつであったでしょう。
今まで、政党など、いわゆる「組織票」は根強く、市民にとって 政治に対する無力感は大きいものでしたが、そこに歯に衣着せぬ物言いで、古い体質の政治の仕組みをバッサリ斬ってくれる石丸さんが現れます。
「長年にわたって、変わらなかった政治の体質に失望していたが、この人は、もしかしたら、そういった体質を変えてくれるのではないか、やってくれるのではないか」そんな期待があったと思われます。
しかし、先程の「支援者の方々」が持っている人脈を考えると、この「無党派層」の方々だけではなく、石丸さんの思いとは裏腹に「組織票」も働いているのではないか…と心配になります。
③正直・誠実と見られたから
石丸さんの、マスメディアに対する 歯に衣着せぬ物言いが、批判を浴びることも多々ありますが、これが逆に「媚びていない」「正直」というように映ると、信頼度が増しますよね。
好感度を自ら下げているように見えるが、「敢えて」の戦略なのか、正直なのか、あるいは両方か。
マスメディアからの「定番の質問」に対して「そんなことより、政策の話を」とキッパリ言うところも、(横柄な言い方を指摘する声も多いものの)市民の声の代弁として、受け止めている人もいるのでしょう。
日本のマスメディアでは、選挙戦に限らず、政策を議論する番組が少ないですよね。
報道の自由度も低い(G7最下位の70位)ので、メディアに対してウンザリしている市民も少なくないのだと思います。
石丸さんとメディアのやり取りについて、Xなどで、両方に対して批判する声が飛び交っていますが(7月10日現在)、
どちらに対しても、誹謗中傷は、良くないですよね。
④プレゼンが上手い
都知事選 4候補のネット討論会(2024年6月24日)が行われた中で、こういった一幕がありました。
(蓮舫さん)
まさか外苑の再開発の事業者から、都知事はパーティーのチケットの購入とか、受けてませんよね?
(小池さん)
パーティーの開催につきましては、それぞれ法律にのっとった形で公表をさせていただいているところでございます。
そこですかさず石丸さん、こう切り込みます。
(石丸さん)
いや、今の蓮舫さんの質問は、イエスかノーかで答えられるので、イエスかノーかで答えていただきたいと。おそらく視聴者全員、思ったと思います。
もう一度お願いします。
(小池さん)
はいあの~、私はこれまで、政治のパーティーという形で開かせていただいております。
その中には様々な方々からご意見をうかがうと同時に、え~ご協力もいただいている、そしてそれは、法的にのっとって進めているということでございます。
(ファシリテーターの高橋さん)
僕もちょっと分かんないんですけど、それはイエスってことですか?
(小池さん)
様々な方にご協力いただいております。
小池都知事が、蓮舫さんの質問「外苑の再開発の事業者からのパーティーのチケットの購入」について、ハッキリ言わずごまかした時、すかさず入った石丸さんの切り込みに「ナイス!」と思った視聴者は少なくないと思います。
高橋さんも、ナイス!
こんな風に、蓮舫さんに助け舟を出し、小池さんが答えざるを得ない流れを作ったりしてくれるんですよね。(結局、都知事は答えませんでしたが…)
(参考:THE PAGE 【東京都知事選2024】蓮舫さん・石丸さん・小池さん・田母神さん 4候補のネット討論会 2024年6月24日)(40:29あたりから)
また、プレゼンに関しても、石丸さんご自身が得意だと言っていたことがあります。
銀行アナリスト時代、為替・経済などのセミナーを行っていたそうなのですが「とにかく緩急をつけて、興味関心を引きまくる(飽きさせない)」とのこと。(参考:あっちゃんのYouTube大学 2024.6.27より)(10:25あたりから)
⑤政策より、古い体質を「変えてほしい」気持ちが大きかった
政策の面では、石丸さん、蓮舫さん、小池都知事、その他の候補者にも、それぞれのやりたい政策が複数あり、都民側は「どの政策を私は一番重要視し、選択するのか」を熟慮して選ぶと思います。
そして、3人の候補者に限っては、全くの素人ではないので、どういう首長であったか、国会議員だったか、過去の実績もさかのぼれるでしょう。
「予算の見える化」・「既得権益ではなく、都民のため、都民に寄り添う都政」という点では、蓮舫さんも石丸さんも同じですし、「子どもたちへの支援」に関しても やり方は違えど、共通するビジョンがあります。
それでは、なぜ石丸さんなのか。
やはり1番には、古い体質の政治、とりわけ「政治屋」に対して市民は怒っており、「政治屋を一掃する!」とキッパリ言ってくれたことは、投票の優先度にひびいたのではないでしょうか。
前述の支援者藤川晋之助氏ですが、皮肉にも多くの「政治屋」を当選させてきた人です。
石丸氏が、「政治屋」の人たちに利用されることを、1番心配しています。
⑥独自政党は立ち上げない
石丸さんは、「地域政党を独自で立ち上げる気はない」といいます。
「都知事与党というものを作り出すとキリがない。自分の支持母体が過半数を占めたら楽になるが、それは仕事の目的じゃない。」「都民のために良い政策を実行することが目的。手段と目的を取り違えやすくなるので、しない方が良い。」と述べています。
(参考:あっちゃんのYouTube大学 2024.6.27 より)(12:17あたりから)
こういった、(与党になって議会をコントロールするのではなく)あくまで都民のため。
政策が良ければ、どの党とも「是々非々」で協力してやっていく、といった考え方も、今までの「党利党略」の政治にウンザリしていた都民からは、希望となったのかもしれません。
まとめ
ここまで石丸さんがなぜ、人気なのか?なぜここまで支持されたのか、について見てきました。
前述の、選挙支援者の方々の顔ぶれから、「しょせん組織ではないか」「政治屋になってしまうのでは」と不信感を抱いている人も多いです。
今後も、支援者たちの動向は、注視していく必要がありますが…
一方、対談などの中に見られる彼の真剣さは 伝わってくるものがあります。
(支援者たちに何か思惑があるのなら)どうか利用されないでほしいと願うばかりです。
また、本日の分析は、決して筆者のひいき目ではございません(笑)
(筆者は、都知事選では、他の候補者を応援しておりました。)
今回の都知事選について
今回の都知事選は、現職の「組織票」に勝てず、ガッカリされた方、多かったと思います。
しかし、今回の都知事選は、結果的に、政治に興味関心を持つ人が増えた選挙戦でしたよね。
石丸さんに投票した人からは「政治に関心が持てた」「3者3様の政策を良く読み込んで投票した。勉強になった。」という声が聞けました。
蓮舫さんの 市民に寄り添う政策に共感した人々が、初めての「ひとり街宣」をするなど、政治に自発的に参加し、政策を語るムーブメントが生まれました。
都知事選は終わりましたが、社会を良くしていくための議論は、私たち市民の中でも、続いていきます。
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